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カフェスロー代表吉岡が、自身の活動を通して、「本当の豊かさ」を追求する人々や出来事との出会いを綴ります。

『 カフェそそど・粟島 』



新潟県の山形との県境沖に粟島という人口350人の島がある。
平均年齢70歳を超える典型的な過疎の島。



そんな島からの要請で、公設民営による島カフェの可能性について打診があり、 一年近くの準備期間をかけて、今年5月2日の「島開き」の日にカフェをオープン。
その名も「カフエそそど・粟島」。”そそど”とは、地元の方言で「ゆっくり」という意味。



この店の経営は、「スロータウン・ネットワーク」が村役場から受託し、カフェスローのキッチンスタッフだった世良健一・さやか夫妻が退職を機にカフェのスタッフとして働いている。島の畑で野菜を栽培しながらカフェで働き、近い将来には出産と子育てを島でやりたいという2人の希望が叶って、楽しい島生活を送っている。




カフェスローと同じく、手作りのストローベールの内装と壁塗り、そして漁船の照明器具を応用したライト、島民から拠出していただいた椅子・テーブルなど島の人々の温かい協力によって、粟島初のカフェが誕生した。





これから夏の最盛期を迎えるが、カフェスロースタッフの有志も夏休みを利用して、カフェそそどの応援に駆け付ける。名実ともにカフェスローの姉妹店として、オーガニック料理とドリンクを提供。カフェの窓から波止場と船の往来が見え、同時に馬車の停留所にもなっている素敵なロケーション。新潟方面に行かれる方はぜひ訪問してほしい。



JR村上から乗り合いタクシーで岩船港へ、そこからフェリーまたは高速船で約1時間。
夏は涼しく、冬は雪がほとんど降らない癒しの島です。

吉岡淳


2012年夏を振り返って



長くて暑い夏がようやく終わろうとしています。皆さんはどんな夏を過ごされましたか?

カフェスローでは、今年の夏の過ごし方を春から考えていたのですが、毎年一週間程度の夏休みを取っていたのを、思い切って「ホーキ」し、2週間にしました。そのことで省エネにもなり、スタッフがまとまった休みを取ることによって、リフレッシュにもなると考えたからです。

その間、二人のスタッフと、新潟県の粟島で、本保村長からの要請で臨時のカフェを二週間オープンし、来年から本格的に営業が始まる「地場産品の直売所兼カフェ」の試行にあてました。

島民の反応は様々でしたが、多くの皆さんの協力を得て、無事終了。
島にとっては初めてのカフェ、興味津々で、こっそりのぞいていく人もあれば、わざわざ家族で食事する人たちがいたりで、大いに話題を提供しました。



島民350人に、夏季だけで2万人以上の観光客が押し寄せる粟島に、食堂がたったの5軒しかない。民宿に泊まる観光客は良いとしても、キャンプに来る若者たちは食糧持参しないと食事にありつけない状況です。もちろん、コンビニもスーパーもこの島にはありません。それでも準備段階で、既存の食堂関係者の中には、臨時カフェの開店について異議申し立てされることもあったりで、どうなることかと気を揉みましたが、結果は多くの理解を得て売上も当初の目標ラインを超えました。

ちなみにカフェスローが今回展開した食事メニューは、湘南ぴゅあポークのホットドックに、蝦夷鹿のステーキ、 短角牛のキーマカレー。さらに地場産の野菜のハーブソテー。これが結構評判でした。実は粟島には鹿はいないはずが、最近つがいで持ち込んですぐに逃してしまった人 がいて、見つけられず、その結果、いまでは40頭以上に繁殖し、駆除しないと大変なことになる状況になっています。なので鹿料理は近い将来、粟島の郷土料 理になっていかもしれません?!

この秋からカフェスローには新しいスタッフも二人加わり、メニューも新しくなります。
秋の装いで皆さんをお待ちしています。

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・粟島メニューはこちらから→「いざ、粟島へ、カフェ屋台出店!」

・「ホーキせよ!」カフェスロー母体であるナマケモノ倶楽部から311以後の激しい流れを生きる中で、脱力とユーモアを忘れないナマケモノ倶楽部らしい書籍が出版されました。



「国分寺をスローシティに」を目指して

5月下旬、35回目の韓国・北朝鮮(内3回が北朝鮮)への旅に出た。

今回の旅の目的は、イタリア発祥のチッタスロー(スローシティ)に認定されている韓国のスローシティを訪問し、日本での展開方法を探ること。幸運にも今年3月、チッタスロー発祥の地、オルビエートをピースボート乗船区間中に訪問する機会を得た。ローマとフィレンンツェの中間に位置するその町は小高い台地の上にあり、中世の佇まいをほぼそのまま残す小都市。人口2万人前後で、「世界で一番旨い白ワインの産地で、これまた世界で最も美しいファサードをもつカテドラルがある」と住民が自慢するほど素敵な町である。

チッタスローになるには、スローフードが確立されていて、伝統的な町並みや伝統産業が残っているなど50以上の細かな条件を満たさなければならない。現在アジアでチッタスローに登録されているのは韓国の7自治体のみである。今回は百済発祥の地・全羅道にあるタミャンとシナンを訪問した。  

タミャンは、韓国伝統の木造平屋建て家屋が数多く立ち並び、それを石積みの塀が取り囲む美しい町並みが残されている。
竹の産地としても有名で竹製品が伝統産業である。そこに、韓国女性を妻に持つドイツ人のビンドリムさんが経営する蜜蝋工場とショップがあり、韓国女性環境ネットワークの活動拠点にもなっている。伝統的な家屋の中には、日本統治下に建てられた日本の建築様式を取り入れた韓国家屋も残っていて、興味深い。


シナンは、韓国で唯一残る完全天日干し製法による塩の産地である。韓国の西南海岸に位置するその地域は、ラムサール条約の指定地やユネスコの自然保護区に取り囲まれた自然環境に恵まれた地域である。ここで生産されている塩は、世界で最もミネラルや酵素の含有量が豊富で、その塩をウインドファームが輸入販売している。
また、塩博物館や塩サナトリウム、塩レストランがすでにあり、NPO法人インフォメーションセンターとの提携による牧場が今年完成し、ホースセラピーやホーストレッキングもできる、新しいコミニュテイ創りが現在進められている。  


この二つのスローシティは、311後の世界のコミ二ュテイ・モデルとして期待を集めている。また、国分寺市で昨年から始まり、カフェスローも積極的に関わっている地域つながりを盛り立てるお祭り「国分寺再発見ーぶんぶんうぉーく」の到達目標の一つとして、「スローシティ」を目指す試みが今年から行われる。

なお、日本全体のスローシティの取り組みは、「スローフードな人生」の著者で知られている島村菜津さんと吉岡が中心になってこのムーブメントを展開する準備を進めている。その候補地のひとつが日本海に浮かぶ人口350人の島「粟島」。来年オープンを目指すスローカフェの準備の一環として、今年の夏、カフェスローは実験的に粟島にカフェを出店する予定。      

カフェスロー 吉岡淳



人口350人の島にスローカフェが計画中



新潟県と山形県の県境の沖合いに、人口350人の漁村島がある。手つかずの自然が残る貴重な島、粟島。

元々は上杉藩の領地で、軍馬を飼っていたらしい。その種が絶えて 久しいが、この島を311震災後の新しい自治体モデルにする計画が進行している。電力の自給と脱車社会を目指している。

人口のうちおよそ80%が高齢者で、島にある小中学校の生徒は12 名。典型的な限界集落島である。周囲5キロの島には、たった2つの集落しかない。水田は皆無で、漁業と野菜栽培、それに夏シーズンに釣りや海水浴で訪れる観光客相手の民宿が主な産業。

すでにこの島には住民以外の者は車を持ち込めない。フェリーか水中翼船でしか入れない。不思議なことに、中越地震と今回の東日本地震で島が二度も隆起。隆起した地面が海岸線に沿ってくっきりと白い線を描いていて一目瞭然。


さて、新潟県が推進する新しいモデル自治体の一つとして、島将来の柱は馬のある暮らしの復活とスマートグリッドの導入による自然エネルギーでの自給である。

今年の5月には早速3頭の馬が導入され、コミュニティ馬車の運行やホース・トレッキングやホース・セラピーなどが計画されている。さらに村役場から、島の玄関である港に島の特産品の直売所を兼ねた 「カフェ」の設営を依頼され、4月中旬にNPOインフォメーションセンター代表の寄田勝彦さんと一緒に粟島を訪問した。直売所を兼ねたカフェは、来年度予算で実施される。島では竹が自生しており、竹と藁を使った自然素材のカフェを検討してみたい。

元気な高齢者中心の島に、最新のエネルギーシステムと馬の有る暮らし。 確かに、これからのコミュニティのモデルの一つとして大いに期待が持てそうで、偶然の一致か、カフェスローに何度も来ていた若者一家族がスローカフェができることとは露知らず、埼玉県から今年島に移住してきた。

新しい粟島の歴史がいま始まろうとしている。                       



沖縄にスローカフェの拠点が



ある日、カフェスローに沖縄からパイナップルの宅急便が届いた。誰だか判別しないうちに、送り主の一行7名がカフェスローに来店。 沖縄北部のやんばるに、カフェスローを設立したいのでぜひ協力してほしいとの依頼だった。

依頼主は、やんばるで無農薬で塩パイン栽培をしている依田さんという若き夫妻。それに沖縄一の内装専門会社の外間社長夫妻らであった。
「『カフェスローへようこそ』、『スローなカフェの作り方』を読んで、やんばるに作りたいカフェのイメージができた、一度現地を見てほしい」と要請され、7月16日から19日まで急遽訪沖した。

やんばるに隣接する東村は、エコツーリズムのメッカとして県外からも観光客が訪れるほど自然がすばらしい。沖縄本島随一のマングローブの林、 さんご礁の海、豊かなやんばるの森などが織り成す自然美がどこまでも広がっている。米軍基地の演習場がなければ世界遺産になっていてもおかしくない地域だ。



その東村の中心に近い場所がスローカフェの候補の建物で、元は二階建てのホテル。その一階を改装して カフェにする計画である。早ければ今年の秋には オープンする予定。内装には沖縄の草である月桃の茎をベールにして積み、これまた沖縄の赤土を塗る。依田さん夫妻は、5htの農地に、パイナップル栽培を中心に、沖縄特産のアグー養豚も手がけている。 農業体験も兼ねたカフェを目指している。

今回の訪沖でうれしかったことは、やんばるにあるカフェやエコツーリズムの関係者の多くの方々がカフェスローの存在を知っていたり、実際に来店した方もいたりしたことである。

このスローカフェの活動が始まれば、沖縄におけるスロームーブメントが広がることが期待される。 また、本土からのスローツアーも盛んになるだろう。



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